Almost boring

いいかんじに三十路突入

【四国】Shikoku Rock trip 2023

 

今年の年末は初めての四国遠征にいってきた。

仕事柄まとまった休みが取りづらくて日帰りの岩が中心の生活となっているけれど、今年は4連休がもらえた。予定を立てて動くのが苦手のわりに、珍しく2ヶ月前から意気揚々と計画を立てて準備。シーズン入ってから岩場に全ベットしていたけどここ3週間はジムの比重を上げてフィジカルを戻しつつ備えた。

出発後、トポを全て自宅に忘れるというまさかの失態を犯したが..

 

Day1 移動日&黒潮ボルダー

伊豆、城ヶ崎から帰宅して丸一日勤務、明けに移動という中々ハードなプランを強行。

26日の朝に退勤してから自宅に戻り、寝坊しているサエを叩き起こして10時半に名古屋を出発。松風のある黒潮ボルダー、春野漁港エリアに目的地を設定すると、だいたい6時間くらいとなった。指皮も少なく身体も疲れが抜けきっていないので移動/レスト日のつもりだったけど、時間があれば少しだけ触るくらいの心づもりで車を走らせる。

 

淡路SAで休憩

玉ねぎとスパイスの効いた甘口カレーが旨い

 

だいたい中間地点の淡路島で一度休憩。

年の瀬で渋滞を懸念していたけど、道路はかなり空いていてスムーズに移動できた。高速道路から見える川幅や山体のデカさに四国の抱擁力を感じつつ、16時ちょうどに春野漁港に到着。

車を停めたら、すぐ前の堤防沿いにボルダーが鎮座している。


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すでに2パーティが取り付いていた。カバンと風呂マットだけ持って様子を見に行くと、セッションに入れてもらえそうな雰囲気だったので混ぜてもらった。

制限時間は日の入り17時4分までの1時間弱。

 

出だしはガバガバで、少し上がって左手カチを握って右カチへデッドする一手が核心と聞いていた。看板課題だし、登りやすい1級に違いないとflashする気満々で取り付くが、左手カチが想像の5倍くらい悪くて戸惑う。で、一つ下のフレーク状のがマシな保持感だったので、左手でそれを持ち、下足からランジ気味にデッドをしてみるが、距離が出過ぎてフォール。

 

右カチへのデッド

身体が温まってくると距離感が調整できて、指がかかるようになってきたけど止まらず。失敗するたびに指皮の削れがすごいし、時間もないのでムーブ変更。右足をヒールして、左手のなるいカチを押さえ込みながらデッドするムーブにしたら安定感が増した。

 

 

右ヒールでのデッド

三者三様のムーブでコンペ並みにかわるがわるトライしていくが、どんどんと暗くなっていく中で焦りもあり、エイムが合わず、指が掛かっても少しのズレで外れてしまうトライが続く。

17時を知らせる放送が入って、ひとりずつラストトライして終了というところまで来て、デッドする瞬間までヒールトゥでのスタックを意識したら、初めてデッドが止まった。

 

17時4分のラストトライで完登

デッドが止まったら後は易しいので、そのまま完登。

完登動画


この手のパターンで登り切れることは滅多にないから自分が一番驚いた。最高のロケーションの中で看板課題を登ることができて、四国上陸数時間にして最初からクライマックス感がすごい。

写真は偶然居合わせたスーパーアルパインフォトグラファーの高柳傑氏に撮影していただきました。

 

で、喜びを噛み締めて日没と同時に撤収。
道すがら桂浜公園に寄って、龍馬像にご挨拶してから高知市内へ。

 

4日間お世話になります

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宿泊地は高知市中心街のドーミーインに連泊。広めの部屋で1泊あたり9000円/人くらい。伊豆の例の宿とは比べようがなく快適だった。

夕食はホテルから徒歩2分のうめ丸という居酒屋に。個人店なので、提供はゆっくりだけど土佐料理もそれ以外も丁寧に作られていて、素晴らしく美味しかった。思い返せばこの旅行中でいちばん満足度高かったし、めちゃおすすめ。

 

 

Day2 仁淀川ボルダー

2日目は6時半に起床、ホテルの朝食ビュッフェでしっかり食べて仁淀川ボルダーへ出発。

市街地の出勤ラッシュを抜けて、33号線をひた走る。

 

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高知市内から1時間半くらいで到着。

まずはR33エリアの駐車場へ向かって、Jayと合流する。「着いたらバンをノックして起こしてくれ」と言われていたからガンガン叩くも応答無し。仕方なくドアを開けると不在。堤防の上から魔王の岩の方を覗くと、大きく手を振るJayを見つけた。そうして無事合流。

 

knock,knock,knock...

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魔王の岩は駐車場の真下にあるけど、かなりの高低差があって直接は降りれない。下流側に大きく迂回して階段から河原に降りるけど、大きめの岩がごろごろとしていて歩きづらい。帰りのことは後で考えるとして、マットは上から放り投げてアプローチ。

 

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岩に着いた時は寒くてダウンが脱げないほどだったのに、日が射すと気温がぐんと上がってぽかぽかに。半袖でも暑いくらいになった。

魔王という二段にトライ。ルーフの基部からスタートして、小ガバ主体の8手で大ガバに。そこでニーバーレストして、上部に突入するという感じ。

どうみても繋げると抜けのメンタルとパンプ核心なので、先に抜けのホールドを確認したけど、上から落ちると膝へのダメージが地味に大きい。下地がコンクリだからか。

左手で使えそうなドガバを見つけて、下部のムーブを作る。

 

ビタミンDが足りてない」Jay

セパスタで浮いて、すぐに右手マッチ。セパスタする意味ある?

クラック内のスロットを辿り、出口部分で左手をガバスローパーへ。ここで右足を深キョンして、身体をハング内に入れ込んで、右手をアンダーに寄せる。アンダーに寄せたら、踏み替えて左足をドガバに先行トゥを決めて、手を送ったら下部終了。強度としては、寄せの一手がいちばん高い。

 

2手〜3手目

核心の右手寄せ

先にJayが登って、スタートから繋げるも指が温まりすぎて、なんでもないところでヌメッて落ちる。リミットの12時半に近づいて、ホールディングを微調整しつつ、よく指を乾かしたトライで下部はパスして上部に。


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マントルは慎重になって足を切るタイミングを遅らせたら、リップで甘いところをマッチする羽目になった。身体が浮いて焦ったけど、これで落ちたら次はないと踏ん張って何とか耐えて完登。左手の前腕が痛いくらい張ってた。

完登動画

全体的にホールドはポジティブで登りやすいけど、それなりに覚悟の必要な課題だと思う。ひとまず大きな目標のひとつを達成できて満足した。

 

12時半に撤収して、きついデプローチをこなしてフューチャーエリアへ移動。

トポ指定のスペースが工事車両専用となっていたため、道を進んだ大きな路肩に駐車して河原へ。アプローチがハードとは聞いていたけど想像以上にしっかり悪かった。かなりクタクタになって岩場着。


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Stoicism超時空のある岩に居座る。

どちらも目標課題ではあったけど今回はStoicismに絞ってトライ。ガバに地ジャンでスタートして3段、Lowスタートで4段となるらしい。初登者はかの有名なシミプロ氏。

 

スタートしてすぐに右足を送り、キョンと左肩での対角ロックして右手をガスカチへ。指先で押さえつつ、左足で粒を踏んで身体を右に入れながら、ガスカチに小指を巻き込んでいく。ガスが効いてきたら左足をさらに上のスタンスに踏み直して、左手を上部のクラックに指す。

 

初手のガスカチ取り

上部のクラックへ

だけど、右肩でロックする力が残ってなくて、今日の最高高度はここまで。クラック取りのシークエンスは一度もできず。

常にボティテンション全開に肩で抑えていく系で、相性としては悪くなさそうだから通って登りたい課題だった。

 

で、裏の超時空にマット敷き直して、Jayはマントルのラスト一手でヨレ落ちしてた。僕は完全に出涸らしだったので、ホールドを撫で回して速攻の終了宣言。夕暮れと共に、きついデプローチでグロッキーになりつつフィニ。

 

Jayは四国にもうしばらく滞在して、来月には九州に移動して月末に韓国へ帰るそう。ロシア側の雪が落ち着いたら、ウラジオストックから長期のヨーロッパツアーを始めると。11月に下呂で出会って以来、毎週のように一緒に登っていた日も、これで最後かと思うとしんみりした。写真取ってハグして別れた。

 

またどこかで

高知市内に戻って今日も夕飯散策。

1軒目は藁焼きで有名な明神丸に行ってきた。美味いけど、うん、って感じで昨日のうめ丸ほどの感動はなく..

2軒目は向かいの鳥ボーンへ。翌日もあるので酔いが回る前に退散。

揚げ鳥ボーン

 

Day3 日御子ボルダー

3日目、起床時から身体がめちゃ重。

ライミング自体でっていうよりはアプローチのしんどさから来る疲労な気がする。今日も朝ビュッフェでしっかり食う。

行き先は黒潮百と八つの流れ星か、仁淀の再訪で考えていた。

けれども満月の週で潮位も大潮と最低潮位が96センチまでしか下がらない予報で、現地に行っても下地が出ない可能性があり断念。かといって、仁淀のしんどいアプローチをマット3枚背負ってこなすメンタルでもないし。物部は一応年末にさしかかるので自粛。結局、アプローチ至近な日御子に向かった。

 

よくばりセット

日御子へは高知市内から南国市方面に向かって、2時間弱くらいで到着。

ラスコンは安定のローソンでトイレを借りて昼頃に入山。

トポがないのでとりあえず下流エリアの火消し岩に向かったけど、1パーティに独占されていたのでインキャムーブかまして移動。石舞台エリアを目指して上流エリアまで彷徨って、昼過ぎになってようやく同定、腰を落ち着けた。


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石舞台の岩には神楽イザナギという二つの初段と、左からトラバースしてイザナギの抜けに繋げる卑弥呼という二段がある。

イザナギ側は陽が燦々でほかほかだったのでアップを兼ねて神楽からトライ。

左手甘いカチと右手指3本第二関節までのアンダーのセパスタで、みるからにスタート核心だったので上からバラす。二手目のガバポケットへのクロスがちょっとイヤだけど、フラッギングしながらトゥフックで解決。アンダーガバを取るあたりは頑張るだけ。マントルはエッジのあるポケットを嫌がって、スロットに左手を出すと詰む。左指をちゃんとポケットに食い込ませて、右手でスロット取ればオーケー。

 

ガバポケットへのクロスムーブ

嫁起床

で、繋げ。昼寝中に配慮のサイレントクライミングで、何度か初手出しして止まったトライで静かに登り切れた。

完登動画

 

近くにあるI screamを見つけて移動。



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チョックストーンの傾斜面を登る課題。

ホールドは二段にしてはかなりフレンドリーな感じ。陽が当たっていて保持感が悪いのでワンムーブずつバラしていくが、中間部までの距離の遠いセクションはまあいいとして、抜けがどうにも難しい。

右手カチへのデッドを止めたら、左手もリップ手前の水平カチに送るが、ここで足を切ると剥がされる。

 

左手をリップ手前の水平カチに送る

右スローパーへデッド

陽がかげって冷えてきたら、保持感が少し良くなって足ブラで耐えれるようになった。そうして足のセットまではできるようになったけど、マントルのための右手スローパーへのデッドは出せず敗退。よく見ると水平カチのさらに左側に斜め向いたガバカチがあって、それを使うと何とか手を出せる具合だったけど繋げる気力は残っておらず終了。



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最後に石舞台にもどって、陽のかげったイザナミを触るも、本当に触るだけで終了。なんたって気力も体力も残っていなかった。

至近のデプローチに心の底から感謝してフィニ。

これにて2023年の岩納め、ボウズとならずに安心した。

 

山を降りて高速に飛び乗り、2時間くらいかけて道後温泉に移動。

宿泊する道後Hakuroにチェックイン。部屋にレコードやターンテーブルが置いてあったり、ラウンジの充実度が高かったり、そういうタイプのホテルだった。

 

ホテルのラウンジ

道後のスタウト

道後の温泉街は想像していたよりも再開発が進んでいて、どこも綺麗な店構えだったけど、どこか整然としすぎていて少し物足りなさを感じた。夜の飲食店はそこまで多くなく、飲み歩くなら市内の中心地のが良さそうな雰囲気。

魚武という居酒屋に入ったけど、ファミレス感が強くて微妙。早めに退店して、街を歩いてストリップの前でタバコを吸っている時に、飛鳥のれんの気さくな店長と話して、雰囲気が良さそうなので入ってみた。鯛のフィッシュ&チップスが絶品でまあまあ酒が進んだ。

ホテル戻っても暴飲暴力を続け、ぶっ倒れて就寝。

 

 

Day4 愛媛観光

超絶二日酔いの中、絶望と共に起床。

朝風呂で付け焼き刃に体調を整えて、街に出る。

 

西岡製菓舗 道後温泉からすぐ

つるの子、優しい甘さのカスタード

来島定食

昨日のおっちゃんに教えてもらった銘菓を求めてから、今治市へと移動。下道で峠を越えて海に出ると、目の前にはしまなみ海道の島々。そんな素敵なロケーションで、お腹がややはち切れるボリュームの定食をいただいて、タオル博物館へ。

 

ハンカチ誕生の瞬間

常設展、特別展と物販が半々くらい

かなり離れたところからでも見える立派な洋館で、ちょっとした工場見学と、展示と物販がある。常設がムーミン展、キャシー中島を激プッシュで最後の方はちょっとクドくなった。

 

特別展は福田朝子氏の創作人形展。

生活の端々の中で出会った人々をモデルに作っているようで、30センチほどの小さな人形でしかないのに、その場の空気感が伝わってくるような温かい作品が多かった。ちょけた作品から、正統なものまで見ていて飽きがない。

 

来た道、往く道

お土産も買い込んで帰路へ。
昼食のダメージがかなり大きかったので、30分仮眠してから出発。渋滞にはハマらずに、予定通り5時間半で名古屋まで帰って来れた。

4日間で合計20時間超、1400キロ超をひとりで運転して、もともと瀕死だった腰が完全に死んだ。

 

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遠征を終えてみて、クライマーたちが四国が最高だという理由がわかった気がする。広大な自然の包容力があって岩はドデカい。飯は美味く気候は程よく温かい。でも多分それだけではない。

登りに関して、制限時間をつくってトライしていく難しさを知った。でも、実力的に登れる課題は「いま手を離したら完登はないな」ってタイミングでしがみつくことができたし「今しかない」って瞬間をモノに出来た嬉しさは忘れられない。近所の岩場だとそういう登りができないわけじゃないけど、長い道のりや時間をかけて訪れた岩場だからこそ入るスイッチみたいなのがあるのだと思う。

 

反省点は、遠征前に遠征を突っ込んだり、無理に仕事の予定も詰めていたから疲労が抜け切らないまま、だらだらと進めてしまった。次は完全にフレッシュにして乗り込みたい。

 

また来年か、その先か、次回も楽しみだ。