Almost boring

いいかんじに三十路突入

【北アルプス】錫杖岳 前衛フェース 1ルンゼ Little wing

引き続き秋のロックトリップ。

小川山から下山後にその足で新穂高へ。

traverse.hatenablog.com

 

駐車場で前泊して翌朝にDIさんと合流し、5時半ごろスタート。

今回のルートは1ルンゼの派生ルートである「Little wing 5.10c 9ピッチ」。

前回の「注文の多い料理店」から50日ぶり、今季2回目の錫杖岳。

 

▼前回の記録

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前回は余分なギアまで担いで行きウルトラヘビーで満身創痍のアプローチだったので、今回は出発前に念入りにDIさんとギア相談し、ミニマムな感じで。

「軽さは正義。」

大学山岳部の偉いひとにはそれが分からんのです。

 

1ルンゼ〜Little wing(以下LWと記載)は終了点以外はランナーのほとんどをNPで取る必要があるのでカムは不可欠。かと言って「注文」のようにバカでかいカムまでは必要とならない。

具体的には、#.4〜#3までが2セットあるとちょうどイイ感じ。コンマ以下はLWオリジナルピッチでは思っていたより多く使った印象。シューズは悩んだが、サイズのデカいTCプロでなめプはあかんだろってことでやや大きめなミウラをチョイス。

 

錫杖岳 1ルンゼ 〜 Little wing   10h40m

中尾高原駐車場(5:35)〜錫杖沢出合(6:40)〜1ルンゼ取り付き(7:15-7:50)〜登攀(7:50-12:40)〜同ルート下降&休憩〜取り付き(14:40-15:00)〜駐車場(16:15)

 

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ヘッデンスタートでクリヤ谷登山道を粛々と歩いていく。

錫杖沢出合で左のクライマー道に入っていく。錫杖沢は前回は枯れていたが、今回はガッツリ水流があった。上部にキジ場だらけなのでウンコ川ですよこれは完全に。

 

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振り返れば紅葉と冠雪した焼岳が。

 

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実際に刻んだピッチ

 今回は時間短縮のため、トポ上で計50mとなるピッチは積極的にリンクしていった。上記が実際に刻んだピッチで、LWオリジナルとなる5・6ピッチ以外は50mがほぼ出切る感じだった。終了点は全てハンガーボルト。

 

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1ルンゼ取り付きのテラスで登攀準備。

日本の岩場本では、1ルンゼを6ピッチ登り上部のLWオリジナルピッチにつなぐと記載があるが、開拓者のブログを参照すると、1ルンゼダイレクトから上部のLWオリジナルピッチにつなぐ設定のよう。ややこしいわ。

なので厳密には右の凹角を越えてコーナークラック(1ルンゼダイレクトの1ピッチ目)を辿るのが開拓者の意図を尊重したルートとなるが、ガッツリ水流があったので1ルンゼ本流のピッチからスタート。

中間部もダイレクトのピッチはほぼ濡れていたので、1ルンゼ本流を上がり日本の岩場に記載のあるLW上部2ピッチにつなげることにする。

 

1ピッチ目 50m Ⅳ〜Ⅴ+

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DIさんリードでスタート。しばらく上がらないとプロテクションを取れないため怖い。

ルート取りをミスると10bくらいになるっぽい。2箇所くらいワンポイントで悪いところがあり、ちんちんがヒュンとした。基本ガバの快適なフェース登りでトポ上2ピッチをリンクし、終了点へ。

 

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どのピッチもハンガーが打たれている。

 

2ピッチ目 45m 5.5

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shuリード。草付きの凹角を登ってガレたルンゼに入る。V字状岩壁直下のリングボルト終了点に導かれて直上していくと、ルンゼから左に一段上がったテラスにハンガーボルトの終了点を発見。15mほどクライムダウンをして、唯一濡れていない左壁のハンドクラックから上のテラスへ上がろうとするがまあまあ怖い。#.3と#.4を決めて覚悟を決めて身体をあげた。これマジで5.5??

 

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フォローのDIさん。

 

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ここのテラスは広さもあってイイ感じ。振り向けば絶景だし。こんな景色を独り占めできるのはクライマーの特権なんだなあ。みつを

 

3ピッチ目 45m Ⅳ

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3ピッチ目はDIさんリードで左の階段状を上がっていく。プアプロだが易しい。

 

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4ピッチ目 30m Ⅳ

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4ピッチ目はshuリード。左のカンテ〜フェースを上がる部分でボルトが打たれている。出だしは高度感があってスッキリ気持ち良い。その後は凹角沿いに上がって快適なテラスにハンガーボルトの終了点あり。

終了点からは左方向に5mほどトラバースしてLWオリジナルピッチの取りつきテラスとなるので、初めからトラバースまでこなしてからピッチを切ったほうがベター。

 

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5ピッチ目 25m 5.9

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LWオリジナルピッチを見上げる。威圧感のある垂壁でかなーりイカつい感じ。

1ピッチ目はジグザグクラックを上がり、三角テラスに向かって左にトラバース。三角テラスから上は悪いホールドで直上後に右上するフィンガークラックを使い、草付きのコメツガテラスに突っ込む。

 

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 4ピッチ目終了点から左にトラバースしたテラス。ここから真上に登っていく。

 

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shuリードでスタート。垂壁のクラックでずっとガバというわけでもなく少し怖い。フィンガー以下に細かいカムでプロテクション乱れ打ちしながら進む。三角テラスと同じ高度まで上がったところでトラバースするためのキーホールドが濡れ&苔で息詰まる。最終カムは足元で、ビビって突っ込めず。フリーと違って打ち込む時間の余裕もないのでロワーダウンで降りてリード交代。DIさんはより低い位置からトラバースしたが、こちらは全く濡れていなかった。

 

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フォローでのトラバース。

 

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三角テラスは極狭&極寒。日陰で風の通り道なので化繊ダウンをフードまですっぽり被ってビレイ。

6ピッチ目 30m 5.10c

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核心ピッチ。DIさんリードでスタート。出だしはステミング気味に上がっていく。出だしのみボルトが3本あり、右上するクラックに入ってからはカムでランナーを取っていく。クラック部が濡れているらしく、12を登るパートナーでさえ堪らずテンションが入る。

 

コールがあり、登る準備をするがビレイグローブを外した瞬間に指先の感覚はなくなったし、寒さに体も震えてより一層難しく感じてテンション。

クラックのセクションはA0混じりに突破したとはいえ、こんな状態でリードで抜けていったパートナーに若干のドン引きと尊敬の念を送った。

 

12時40分トップアウト。

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コメツガテラスの終了点は2本の生木から。

テラスのあるバンド上におまけの草付きクラックがあるようだが自然に還りかけている様子で登攀意欲をそそられるものではなかった。なのでここで終了として、ラペルの準備に入る。

 

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1回の下降で4ピッチ目終了点へ。

引き続き3ピッチ目終了点の陽当たりのいいテラスまでおりて昼食休憩。ミウラがくせ~の。

 

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隣の白壁「LaCampanella 5.13b」を登るクライマーの姿も。

最後の1枚は三角テラスから撮影。

 

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休憩後も最後まで気を抜かないように慎重にラペルして基部到着。

装備を片して1時間ちょっとで下山。

 

NP主体のルートはルーティングによって難易度がコロコロ変わるのでOSの場合はより慎重にならなければいけないとか(あたりまえだけど)、アルパインでの5.10台のクライミングは背負った荷物の重さや強風、低温などフリーではおおよそ難易度に加算されてこないようなファクターが想像以上に重くのしかかってくることを痛感した。

来年はもっと強くなって戻ってきたいと思うものです。

 

というわけでこれにて今期の無雪期アルパインライミングは〆。ディーアイさん、ありがとうございました。