紅葉シーズンが始まったということで八ヶ岳へ。ということでって意味わかんないんだけど。
メンバーは車に乗ったら必ず寝るトシヤとUL装備なおしゃれハイカーに憧れる陰キャラのマルと僕の3人。
ルート、行程など
稲子岳南壁左カンテ 14.8km 9h10m
みどり池入口ゲート(6:15)〜しらびそ小屋(7:10)〜アプローチ分岐(8:25)〜稲子岳南壁取り付き(9:00)〜山頂作業道へトップアウト(11:30-12:00)〜黒百合ヒュッテ(13:00-13:50)〜みどり池入口ゲート(15:20)
稲子岳は、天狗岳とニュウに挟まれた登山道の通っていないマイナーな山で、地殻変動でできた断層が南壁と東壁を作っている。登山体系を参照するとかなりの本数のルートが引かれているが、近年の記録を漁ってみると、最も易しいとされる南壁の左カンテルートとその左カンテにバリエーションを持たせた変則ルートが主な登攀の対象となっているらしい。今回は概念把握のためにその左カンテへ。
しらびそ小屋へ
深夜集合で名古屋を出発し、稲子湯近くのみどり池入口ゲートに駐車。この週末は紅葉シーズン初めということで、いわゆる有名どころがアホみたいに混んでたらしく道中の白駒池駐車場もパンパンになっていたがみどり池入口ゲート前はガラガラ。すぐ隣なのに知名度の違いでここまで変わるか。
6時過ぎにスタート。高気圧が広がる予報だったが生憎のガス模様。これはこれで苔の森みが強くて良いけど湿度が高すぎてマッハな汗が留まるところをしらない。晴れてたらみどり池から天狗岳や稲子岳の壁が見えるらしいので心の目で見ておく。
南壁までのアプローチ
しらびそ小屋までサクッと歩いてアプローチの確認。
アプローチの方法は2つ
①高度2230m付近まで登山道を上がって目印の看板から作業道の踏み跡を辿っていく
②登山道を高度2125m付近にある木の階段から右手に逸れて踏み跡を辿っていく
今回はアプローチ①を利用したが、アプローチ②を使っているログを見て看板が高度2125m付近にあるもののと勘違いしていて登ったり降りたりとかなり時間を使ってしまった。結局2230m付近で看板にやっと出会えた。
天狗岳方面へハイキングに行くマルと別れてここから作業道の踏み跡へ。
踏み跡を辿ってガレ場や苔の森を進み、南壁の基部に達する。大きなルンゼが見えたところでその右側のカンテが左カンテのルートなので基部へと慎重に近づいていくと目印となるテープと赤いハーケンがある。
まあ書いちゃえばすぐなんすけど取り付きもクソほど分かりにくいので注意してください。迷わなければしらびそ小屋からは1時間ほどで来れると思う。ここで登攀具を装備。
左カンテルート Ⅲ+ 120m
初めはカンテ左側の上昇バンドを伝い、次のピッチは凹角を経て。カンテの頂稜にでる。3ピッチ目はチムニーへと入り、出口は左側へ抜ける。この上はカラマツの生えた広いテラスになっている。この後1ピッチは階段状でなんでもない。そして最後にカンテ正面寄りのフェースか、左手の凹状の壁を登って登攀を終了する。(登山体系より)
プロテクションは、カムは大きめのサイズを2setとヌンチャクを5本ほど持ってきたが十分に足りた。カムはほとんどの場所でよくキマるがクラックというよりはフレークっぽいので過信はできない。各終了点はピカピカのペツルボルトが打たれておりその通りに切るとかなり短い長さでピッチが切れる。ルート自体がクライミングというよりは崖登りといった感じなので落ちる心配はないが、屈曲が多くロープを伸ばしすぎるとひどく重くなりジレンマだった。
1p目は僕がリード。簡単なスラブを15mほど直上するとチムニーの右側壁にボルトあり。右手方向に上がっていくと屈曲がエグいので短いがとりあえず一旦切る。
2p目は35mくらいかな。ルーファイしながら進んでいったがデジマルがつきそうなクラックやフェースも変則ルートとして使えそうな印象だった。弱点をついた登り方だと面白くないのであえてクラックや直上ルートなどで遊んだ。最後はガレたテラスに出ると一段上に終了点が打ってあるがテラスで切った。
一瞬だけ天狗岳方面のガスが抜けたものの、真っ白の世界にすぐ戻った。眼下の紅葉を楽しみにこの壁に来たことは口に出さないことにした。
そう、見えなくともそこには素晴らしく美しい紅葉が広がっているのである。
えらい人にはそれがわからんのだ。
3p目はトシヤがリードで。正面向かって右側のチムニーを抜けたが左のフェースを使った方が面白そうだった。
チムニーを抜けると少し歩いたところにボルトがありそこで終了。ここでATCを崖下に落としかけて僕のチムニーがテンションしてハーケンw
4p目はコンテで良さそうだったが初見だし様子を見ようということで確保してもらい、しばらくカンテ沿いに左側を歩いていったらボルトがあったのでそこで切った。ここからボロいフェースを直上するのが正しいルートだと思い少し上がってみたが、草付きでボルトもなく一旦降りた。帰宅後さらに調べてみるとどうやらこのボロいフェースを上がっていくのが正しいルートのようで勿体ないことをした。
結局よくわからないままルンゼを詰める方針でまとまったが、いざルンゼを一段上がったらトップアウトしてしまった。岩場からいきなり平坦な草付き広場に出るので気持ちの切り替えが追いつかない。
コマクサ防護のための電流ネットを越えて作業道へ。
黒百合ヒュッテへ
消化不良感は否めないが腹を空かせた登山隊のマルから催促の連絡が来ていたので急いで装備を片して作業道を駆け下りる。登山道へ復帰するあたりで高度を下げるが勿体無いので等高線上にトラバースして登山道へ復帰。中山峠まで登り返し黒百合ヒュッテにてマルと合流。
前回来た時に食べられなかった名物ビーフシチューをオンサイト。
下山後に寄った稲子湯はシャワーがなく、桶の中で熱湯と冷水を混ぜて自分で適温を作らなければないというプレイにカルチャーショックを受けながら名古屋へと戻った。
コンパクトにまとまっているしアプローチも近く景色も良いので(見えなかったけど)グレード的に冬にドライで登ったら登りごたえあるのではなかろうか。冬に期待。