人の少ない山域に行こうと冬の仙丈ケ岳行きが決まった。北沢峠につながる南アルプス林道は昨年の土砂崩れから復旧していないので、バリエーションルートの地蔵尾根を歩くことに。
天候は当日・翌日しか安定しない予報だったので、撤退も念頭に偵察山行くらいの気持ちで。降雪直後で全行程ノートレース、鬼のフルラッセルだった。
ルート、行程など
仙丈ケ岳 地蔵尾根ルート(2370m付近で撤退)
3/18 12.7km 7h50m
柏木駐車場(10:20)~穴沢ノ頭付近(13:10-13:35)~松峰小屋分岐(16:20)~2370m幕営地(18:10)
3/19 14.7km 8h15m
2370m幕営地(6:30)~ワカンハイク~幕営地(8:45-10:30)~松峰周辺(12:05)~水場(13:20-13:35)~柏木駐車場(14:45)
行きはナビ通り分杭峠から登山口を目指したが、峠上部で凍結してツルツル。引き返して、ぐるっと回り道して柏木駐車場へ。ゆっくり準備してスタート。
今回も、食べかけの行動食を渡してくる相方まるとふたり。2日間通して誰にも会わず。一応は破線ルートなのでピンクテープは少ないが、基本的に尾根通しなので迷うことは少ないだろう。
緩やかな尾根を往く
地蔵岳に乗るまではひたすらにゆるやかな登りが続いていく。
林道は必ず併用する箇所とそうでないところがあるが、基本的には林道のある部分はそちらを歩いたほうが良い。巻き道は積雪期でトレースもないと迷いやすく、かえって時間がかかってしまう。
松峰周辺まで来ると仙丈ケ岳がよく見える。
このあたりで林道は終了して、登山道のみになる。
ノートレース。積雪は膝下くらいの湿雪で、吹き溜まりでは腰ぐらいまで埋まる。
幕営地を探す
松峰小屋分岐をスルーし、幕営適地を探しつつ先へ進む。
分岐を超えて少し歩いたところにまずひとつめの幕営適地があるが、進めるところまでは進む。
山を舐めるなおじさんに叱られしまいそうな時間だが、夕陽を浴びながら尾根を直登していく。
お菓子を食べるために山に登る相方まるはラッセルが強い。まるで重機のようだ。カントリーマアムを推進力に変えて、己の道をガンガン切り拓いていく。
地蔵岳山頂周辺でタイムアップ。台地状なので幕営適地は腐るほどある。
今回の幕営地は★①を使用。
他パーティの記録を参照していると★②(2356mのコル)や★③(2360mの丸山谷ノ頭付近)も張れるスペースが多いようで、計画書の段階では、2日目にピークへとアタックするのであれば、残業してでも★③で幕営する予定だった。積雪量で適地を判断したいところ。
微弱に入る電波で天気図と予報を確認。低気圧が近づいてきていて、翌日は12時から荒れる予報だったのでピークハントは諦めて、ワカンハイクして下山することになった。
夕飯は名古屋人のソウルフード、出汁から茹でる味噌煮込みうどん。寒すぎて麺が全然ほぐれない。雪山では二度と食わねえと誓った。
身長175cnと158cm男女ペアなら超快適ってわけではないが、狭すぎるほどではない。この狭さだと外気温マイナス10℃以上でもテント内はかなり温かく過ごせて良い。
相方まるのワカンデビュー
相方まるがワカンを初購入。ワカンとは言っても、モンベルのライトアルパインスノーポン。
ベルトはラチェットとベルクロの複合タイプで装着は簡単そうだった。ベルト締めタイプのアイゼンを知恵の輪状態にしてしまう相方まるでもサクッと装着。
グリベルG12と併用しても干渉せず、ヒールフリーなので前爪を使いたい場面でイチイチ脱がなくて済む。すごいぞモンベル!
僕はエキスパートオブジャパンのワカンを、オクトスのラチェットベルトに改造して使っているが、昔ながらのワカンタイプではヒール固定で急登ではやや登りにくいのが難点。来シーズンは買い替えるか~。でももったいないな~なんてなりそうな、ワカンってホント微妙な立ち位置。
地蔵岳から少し下って、丸山谷ノ頭方面へ登り返す。ここが先程載せた2356mのコル。
ワカンで浮力を得た相方まるはピンクテープをガン無視で進む。たくましいなあ。
若干の急登もこなし、
開けた地点で終了とした。山と高原地図で展望が良好と書かれているあたりかな。本当に荒れるのかって感じの空で心惜しいが、下山を開始。
地蔵岳ピークを振り返る。
ピークの向かって右側あたりに幕営している。
軽食を取ってからサクッと撤収。
やっぱり熊ラーメンがいちばんうまい。下山だけで時間はあるのでエビのビスクとかも食べちゃう。木の下の雪を溶かした水だから小枝とかゴミとかめっちゃ混ざってるけど旨かった。
相方まるも、雪から作った水に最初はギャンギャン文句を言っていたが、帰るころには木のフレーバーを感じる!とか言ってゴクゴク飲んでた。たくましいわ。
ザックはスピード50で。厳冬期1泊を詰め込んでもまだまだ余裕ある。
軽くなった荷物でスムーズに下山。帰りは林道通しで降りてみたけど、分かりやすいし歩きやすい。次回は登りも林道だな。
結果的に偵察山行になってしまったが、厳冬期最後に新雪を踏めたし、山深い中で人に会わず過ごせて良かった。次回は、ピークを狙って2泊3日でここを歩きたい。