Almost boring

いいかんじに三十路突入

【南アルプス】晩秋、氷晶の北岳

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長かった学生生活を締めくくる大学の卒業試験がやっと終わった。ストレスと勉強の呪縛から解き放たれハンパない開放感を胸に抱きつつ、まずは御在所でトシヤとマルチピッチ。その足で山梨県へ。その翌日から登る予定だったが天気が芳しくない。ということで予備日をここで使い翌日以降の高気圧を待つために街で食っちゃ寝生活してから晩秋の北岳に登ってきた。

 

 

ルート、行程など

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山と高原地図より引用

北岳ピークハント 17.4km 15h30m

1日目:広河原(7:00)〜白根御池小屋(9:50-10:30)〜大樺沢二俣(11:00)〜小太郎尾根分岐(14:50)〜肩ノ小屋(16:10)(幕営)

2日目:肩ノ小屋(7:05)〜北岳山頂(7:40-7:55)〜肩ノ小屋(8:10-9:30)〜小太郎尾根分岐(10:10-10:30)〜白根御池小屋(11:50-12:00)〜広河原(13:25)

 

今回も3分毎に日焼け止めを塗る女、相方まると2人。

1日目が紫線で2日目がピンク線。元々は左俣コースで八本歯経由で山頂周回したかったが、中途半端な積雪と凍結ではコルから吊尾根分岐までの区間が危険だと判断し草滑り経由でピストンすることにした。行きで右俣使ってるのは分岐ミスっただけw(てへぺろ

 

広河原から白根御池へ

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相方まるに叩き起こされ4時すぎに甲府のホテルを発つ。芦安駐車場に車を置いて広河原行き5:30の始発バスに乗り込む。登山客は僕ら以外に4名ほどだけでテン泊装備の人はいなかった。7時ごろ広河原からスタートするとすでに雪化粧した北岳のピークが顔を覗かせていた。

 

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よく見るタイプの吊り橋を渡り広河原山荘の脇から登山道に入る。

ピーク付近は真っ白とはいっても下部では紅葉が萌える気持ち良いトレイルをのんびり歩ける。

白根御池小屋分岐では大樺沢方面への分岐があるが台風の影響でルートが崩壊し通行止めになっている。おそらく来年まで復旧されることはない。

緩やかな尾根歩きの中、第一・第二ベンチと良いタイミングで休憩箇所がある。

 

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崩壊路を横切るとまもなく御池小屋に到着する。

 

小屋締め前の御池小屋

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御池小屋では小屋の方に計画についてこまかく聞かれた。北岳山荘の方も警鐘記事を出していたし、冬山経験のない登山者まで入り込んで来てしまうこの時期はシビアなのだろう。正直なところ、この時期の積雪ならばチェーンや軽アイゼンで問題ないと思っていたが結局は前爪のあるG10を使ったし、それで正解だった。

 

www.yamakei-online.com

 

このように実際にチェーンが効かないという検証を上げてくれている記事があって助かる。僕たちもこの記事を読んで装備の再考に至った。北岳山荘の方に感謝。

 

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御池小屋からは稜線に乗る小太郎分岐まで結構な急登と聞いていたが、急登が一向に始まんない。緩やかやんけ!とか言ってグングン進んでいたら時すでにお寿司、分岐ミスってたw

まあここで戻るのもめんどくさいしそのまま進んで、行きは右俣ルートで稜線に乗ることにした。そんなわけで大樺沢二俣よりバットレスを眺めつつ右俣を登っていく。

 

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まあいつも通り高所に弱い僕なんですけど、今回は異常に体が重くてお昼寝なんかもカマしてしまいました。耐え難い眠気、イラつく相方、ピリつく空気、まさに一触即発。第一次北岳戦争の勃発は避けねばならぬ。

眠い目を擦り回らぬ頭をフル回転させた策士ワイ、相方を先に行かせひとりでスヤスヤお昼寝タイムに入ることで戦争を回避。

人間というものは見えないところで何をしてようとも、見えさえしなければイラつかないのである。

 

昼寝後に気分スッキリで歩いていくとバームクーヘンを頬張る相方と合流した。すくすく育ってくれ。

 

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タイトル『バットレスと俺』


 

白づく稜線に乗る

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小太郎尾根分岐あたりで稜線に乗るが、同時に少しずつ雪が出てくるのでアイゼンを履いた。3分でスチャーンとアイゼンを装備し、苦戦している相方を温かい目で見守る。相方は自分でやりたい年頃なのでここで手を出したらブチ切れられる。爆風に凍えながらぐっと堪えてイヤイヤ期の三歳児を見守るのだ。

 

 

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ヤバむずいって箇所はないけど肩ノ小屋の手前で少し急な区間があり下降は難儀しそうな印象であった。雪の上に乗ってからは今までの眠気が嘘のように消えて発情期のサルくらいウキウキして歩いた。発情期のサル知らんけど。

 

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風の通り道では雪の表面が磨かれていた。

斜度のある区間が終わると途端に穏やかな稜線に切り替わり北岳の肩まで続く。

 

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本日の幕営地、北岳の肩 

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今日のテント地は小屋締めした肩ノ小屋。これまで全く登山者に会わなかったので貸し切りかと思っていたがソロの方が先に張っていた。僕らは風除けになるよう小屋の軒下を借りて設営した。

今回の夕食のメインは前日にカモシカスポーツ本店で一目惚れした戸隠小舎のレトルトカレー。お湯入れて1、2分で完成っていう鬼のレトルト臭に不安しかなかったがスパイス効きまくりな本格的なカレーでびっくりしてカレー漏らした。誰ですか汚いこと言ったのは。ほんでウインナーやらチャーシューやら焼いていたら夕焼けは終わっていたし半シュラ状態で寝落ちしたので風邪引きました。マジでバカです。

  

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北岳のピークへ

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翌朝は1時間の二度寝の末に5時起床。ちぎって使っている半身マットじゃつらい季節になってきたようで足の方が寒かったがぐっすり寝れた。

今回からイスカのAir 450Xのデビュー。我が家に鎮座しているシュラフはイスカの厳冬期用Extreme -20℃とモンベルの夏用15℃っていう超極端な二本立てなんすよ。

そんな誰も嬉しくないストイック山生活とおさらばすべく、なけなしの金をはたいてAir 450Xの購入に至ったのである。今月はその辺に生えてる草でも千切って食い繋ごうと思います。快眠をありがとうイスカさん。

 

朝飯はアルファ米で簡単に済ませて2人でピークハントする予定で山頂へ向かったが、スタートしてすぐ見える雪壁に相方は足が竦むようでテントで待つという。というわけで一旦ベースに戻り荷物と相方をテントにデポって、山頂踏んで速攻の帰還を約束して再度出発する。山頂まではCT登り50分、下り40分だが冬道なのでソロならかなり短縮できるはず。

 

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相方撮影。遺影になると思って撮ったらしい。勝手に殺すな。

 

スタートしてすぐは雪が深く膝くらいまで踏み抜いた。

トレースが残っており忠実に辿っていけばあまり踏み抜かず楽に進めた。

 

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両股小屋分岐まで高度を上げるとなだらかな道になる。

両俣小屋方面のルートも崩壊していて使えないらしい。

 

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両俣分岐から見える偽ピークを超えると山頂を視界に捕らえる。ピークハントにあまり興味がない自分にとって半ば消耗戦のような道をタラタラと歩き山頂まで達する。相方に無事登頂と連絡し、四方八方の山が見渡せるほどの抜群の快晴の中でしばし耽ってから肩ノ小屋へと戻った。

 

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間ノ岳農鳥岳へと続く稜線

下山開始、タイムリミットは14時

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北岳の肩へと戻り、アイゼンでテントを切り裂いた相方と速攻の撤収作業。下山目標を14時前に設定して14時の芦安行きバスに滑り込むこととした。CT通りに進めば問題なく間に合うが、稜線上で焦ると死にかねないので夏道に出てから早歩きすることにした。

 

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行きに感じたように、ドライのミックスに慣れていないと下降で難儀するポイントが1箇所だけあった。山頂のピストンよりこっちのが怖いんじゃないかな。ホールドを探しながらバックステップで慎重に降りる。

 

行きと同じポイントでアイゼンを脱ぎ、御池小屋まで草滑りを駆け下りた。

 

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 バットレスをこの目に納めて、登山を締めくくった。