山中暦日

山を登るという行為ははじめから無用、徒労の営為なのである。しかし、山で呑むビールはめっちゃウマい。

残雪の槍ヶ岳へ

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 槍ヶ岳

天を劈くような山容は、東洋のマッターホルンとも称され、北アルプスはおろか多くの山域から望むことができる。事実、北アルプス周囲の山々の頂に立った際には、特徴的な山容から最初に槍を見つける方も多いのではないでしょうか。

 

富士山と槍ヶ岳は、日本の山を代表する2つのタイプである。一生に一度は富士山に登りたいというのが庶民の願いであるように、いやしくも登山に興味を持ち始めた人で、まず槍ヶ岳の頂上に立ってみたいと願わない者はないだろう。

なんてことをフカダのおっちゃんが言ってたそうな...

 

そんな北アルプスの盟主”槍”に讃仰しない山ヤなどいるのでしょうか。

例に漏れず、僕もいち山ヤとして、登山を始めた当初から憧れを抱いておりました。 

というわけで、天気予報では曇りのち雨と山登りには些かハードな空模様でしたが、覚悟をキメて残雪期の槍までテン泊装備であがってきました。

 

 

【1日目:上高地BT ▶︎ 槍ヶ岳山荘】18.7km 活動時間11時間30分(行動時間10時間10分)

上高地BT(6:30) - 明神分岐(7:30) - 徳沢(8:30) - 新村橋(8:50) - 横尾(9:40-10:00) -  一ノ俣(10:10) - 槍沢ロッヂ(10:40-11:10) - 大曲(12:20-12:30) - グリーンバンド(14:40-14:50) - 坊主の岩小屋(15:30-15:40) - 槍ヶ岳山荘(17:00)

【2日目:槍ヶ岳山荘 ▶︎ 槍ヶ岳山頂 ▶︎ 上高地BT】19.0km 活動時間11時間10分(行動時間9時間)

槍ヶ岳山荘(4:20) - 槍ヶ岳(4:40) - 槍ヶ岳山荘(7:45) - 殺生ヒュッテ(8:13) - 横尾(12:15) - 上高地BT(15:30)

 

 

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毎度お馴染み沢渡から5時50分の始発バスで上高地inします。

車は沢渡大橋駐車場(梓)に1泊分の1,200円を支払いました。

 

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相方も初テン泊で色々不安そう。

ヘルメットは登山用を持っていないので、ロードバイク用で代用です。笑

 

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上高地で登山計画書を提出して、槍沢ロッヂまで延々と林道歩きが続きます。

けど朝の上高地は気持ちが良いね〜!

 

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穂高連峰もごきげんです。

 

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 梓川の本流は槍ヶ岳なので、今回の槍沢ルートでは基本的に梓川に沿って歩いていきます。奥穂高岳明神岳の展望がとても良くて立ち止まりがちになります。

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槍沢ロッヂで大休止し昼食。味は超微妙でした・・・。

 

 

ここで周りを見渡す。

思ったより、というかテン泊装備を全く見かけない。

横尾まではちらほら見かけましたが、揃いも揃って涸沢方面へと向かっていきました。

時期の問題なのだろうか。

残雪期の槍でテン泊はしないものなのか?

初心者なので良くわからないがとりあえず頑張ることにした。

 

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はるか彼方に槍をとらえた!

槍沢ロッヂ裏のヘリポートあたりに槍の穂先が見えるよう望遠鏡が設置されています。

 

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槍沢から30分ほどでババ平のテン場に出ました。水場があります。

上高地からのコースは、水場が豊富なので無理して下から水を持ってくる必要はないです。


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沢沿いの夏道をモリモリ進んでいきます。


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途中でいつかの小雪渓をトラバースします。

雪が腐っているので慎重に渡っていきますが、落ちても怪我はしないだろう高さです。


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雪渓の方はかなり融雪が進んでいて沢がだいぶ露出してきています。


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大曲からは雪渓直登の賢者タイムです。

雪はまあまあ締まっていて歩きやすかったですが斜度が上がるタイミングでアイゼン装着のため小休止。

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う〜ん、暑いね。

天気も良いし、残雪期にしてはアイゼンもよく効くので雪渓歩きとしてはそこそこ快適です。


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ずっと向こうからテクテク歩いてきたんですね〜

 

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相方は結構しんどそう。がんばれ〜!

 

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モレーンが美しい。にしても槍が見えてきません。

 

槍 is どこ〜

 

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グリーンバンドと呼ばれるカラマツ帯で小休止。これは山頂までの距離ですかね?



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グリーンバンドを抜けると槍の穂先がチラ見えします。見えてるけどコースタイム的にはここからまだ2時間ほどあります。

 

グリーンバンドを抜けたあたりで谷側からバカスカ雲が湧いてきて視界がどんどん悪くなりました。風もある程度吹いてきたのでシェルと中間着を重ねます。

初のテン泊装備とロングルートのためか相方は疲弊してきました...

坊主の岩小屋を抜けたあたりでアイゼンを脱いで雪と岩礫の登りが続きます。号泣して足が進まない相方を励ましながら一歩一歩進んでいきます。

 

いやいや、ナンデ泣いてんねん。笑 

蟻の行軍ばりのスピードで進んでいきます。

 

 

そんなこんやで、17時、肩の小屋に登頂!

ガスガスで視界ゼロなのでアタックは後回しにし、槍ヶ岳山荘で幕営の受付をします。テント場利用料は1,000円/人です。テント場利用者は山荘脇の外トイレを使うようになっているらしいですが、修理中とのことで山荘内のトイレを使わせていただけました。

 

天候が芳しくないとの予報だったからか、まだ一張しかなかったので、Aサイトに幕営できました。

 

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雲が晴れれば槍は目の前です!

陽が落ちると気温は一桁代ですが風が強いので体感温度はかなり低いです。


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幕営したら、上は冬用インナー+夏用行動着+ダウン+シェル、下は冬用インナー+夏用行動着+フリースとレイヤリングしました。それでも風が当たると寒いので炊事はテント前室で行いました。


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山ビールは最高の一言に尽きる。

ビールはザックの重さに含まれませんので、ザックの空いたスペースにはビールをこれでもかと詰め込みましょう。


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ダラダラご飯を食べながら晴れ間のアタックを狙いましたがなかなか晴れず。そろそろ雨も降り出すかな〜なんて言ってるうちに陽も落ちてしまったので、明朝のアタックを決意してそそくさと就寝しました。

 

そして夜。

一度トイレに起きた時はテントを叩く風の音がエグかったので諦めて再度就寝しました。

25時ごろに再度トイレ起床すると・・・

 

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満点の星空!!!!!

 

 

いや〜、ありがとう尿意。起こしてくれて。

 

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槍ヶ岳山荘と槍ヶ岳

 

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大喰岳と雲海と天の川。大喰岳は標高3,100 mを越えていて日本で10位の高峰であるのに、槍・穂高連峰の一峰で付属的な山とみなされ「…百名山」などに名を連ねることの無いかわいそうな奴です。槍-穂高縦走でも素通りさせることが多いと思います。

僕は大喰岳の穏やかな山容がとても好きです。

 

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テントから見上げると天の川。

 

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織姫ェーーーーーーッ!!!!!!
 

夜中にゴソゴソやっているのも悪いので撮影を終えたらテントでコーヒー飲みつつ朝を待ちます。夢うつつ状態で朝4時。ヘルメットを装備して、バルトロのアタックザックにカメラと防寒着、夢と希望を突っ込んで槍の山頂に向かいます。

 

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マジックアワーの大喰岳。

奥には穂高連峰が続きます。いつか登りたい...

 

 

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西鎌尾根、赤岳、硫黄岳。

八ヶ岳にも同名峰がありますが別物です。

 

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 槍ヶ岳山荘の標高は3,080mなので槍ヶ岳山頂よりちょうど100m低い。

山岳写真家としても著名な穂苅貞雄さんが経営されております。

作られた当初は槍ヶ岳肩の小屋と呼ばれており、その名残からか今でも肩の小屋と呼ぶ方をちらほら見かけます。収容人数は650人ですがハイシーズンにはそれでも足りず廊下やフロントの床で雑魚寝する人もでるというカオスなことになるそうです...

 

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さ、穂先へ行きましょか。

 

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遠景には富士山も雲のうえにお顔を出しております。

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大喰岳と穂高連峰へと続く稜線も綺麗に焼けました。

 

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言葉にならないくらい美しいです。

槍に取り付きながらもつい振り返ってパシャパシャやってしまいます。

 

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20分ほどで槍の穂先へたどり着きました。遠景には立山連峰

 

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槍ヶ岳山荘を見下ろします。

 

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大喰岳と穂高連峰への稜線は先ほどの姿とは打って変わり、黄金色に輝いています。

後方には焼岳や乗鞍岳が鎮座しております。

 

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積雪期の立山連峰には縁がないと思っているので、夏山シーズンに入ったらテン泊してみたいな。

 

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雲海もこれでもかって具合に湧いておりました。

言うまでもないことですが、槍ヶ岳はヘルメット着用推奨です。

 

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北アルプス入門編として大人気な燕岳を有する常念系山脈の稜線です。

有名な表銀座縦走コースは、中房温泉より入山して 燕山荘(燕岳)- 蛙岩 - 切通岩(小林喜作のレリーフ) - 大天井岳 - 大天井ヒュッテ - 赤岩岳 - 西岳ヒュッテ(西岳) - 水俣乗越 - ヒュッテ大槍 - 槍ヶ岳山荘 - 槍ヶ岳と歩きます。

 

 

f:id:gaktraverse:20180621005144j:plain1921年、「グリーンバンド」と呼ばれている「坊主の岩下」分岐道標から100mほど下に、初代のヒュッテ大槍は槍ヶ岳で一番最初の山小屋として建てられました。その後、二回ほど雪崩に流されたため、槍ヶ岳が最高に眺められるところとして現在の場所に建てられました。」(ヒュッテ大槍公式サイトより)

ヒュッテ大槍は上から見るとだいぶキワいところに建ってますね...

 

 槍ヶ岳山頂からの展望を堪能したらそそくさと下山です。ハイシーズン前のため、頂上には10数人しかいなかったため、渋滞もなくスムーズに降りることができました。

上高地へ下山する槍沢ルートはいかんせんコースタイムが長くなるので、そうゆっくりもしてられません。テン場へと帰還して速攻の撤収作業の後、朝ごはんを炊事しました。

 

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 日曜日も最高の天気で迎えることができました。

このように幕営地は最高のロケーションでした。

 

 

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心惜しくも槍ヶ岳を後にします。

下山はロングルートですが、平坦路が主なので膝を故障する心配もないですし、気持ちよく歩けるペースで歩く・・・つもりが、横尾を過ぎる頃には足の裏が痛くてたまらなくなり、超スローペースになりました。

さすがは2日間で40km超のロングコース。思ったようには行かせてくれないみたいです。笑

明神分岐を過ぎて上高地に着く頃には、観光客のおばあちゃん方にも抜かれる始末。

相方と笑い合い、健闘を称えながら帰路につきました。

 

 

 夢と希望の詰まった初めての槍は、忘れることのできない山行となりました。