アイスクライミング・冬山初めで八ヶ岳西面へ
強目なギャルにイジメられたいハルさんと、年末休みでアックスぶっ叩きに行ってきた。
25時半に某所で合流し中央道で美濃戸口へ。全然雪ない。林道をテクテク歩く交通弱者を横目にジープでガンガン進んで5時前におばちゃん駐車場着。毎回こんな贅沢してると林道とかマジで歩けません。
なが〜い前置き
アイス初めに易しいジョウゴ沢か峰の松目沢か迷ったけど、連休で死ぬほど混んでいそうだし渋滞なんかクソくらえだし落氷で怪我なんて勘弁なので、混雑のマシそうな松の目沢を目指した。だけど、実際に詰めたのは「じゃない方」だった。
「松目沢」は2つある
と言うのも、南西に切れ落ちている沢と南東に切れ落ちている沢があり、ネットの主な記録は後者だが混同されてアップされている。ハルさんが過去に南東沢を詰めた経験があったので、そちらに行こうとしたけどそもそも2つあるなんて知らなかったし、廣川本の通りにアプローチした結果、南西沢の方を詰めてしまった。ハイ、怒涛の責任転嫁おわり。
そんな感じだったので、道中も「ホントにここは松目沢なのか!?」って疑問を纏いしクライミング。撤退はいつでも出来るし、頻繁に地形図を確認しながら本流から外れないように注意した。なが〜い前置き終わり。
八ヶ岳西面 峰の松目 南西沢日帰り 13時間19分 19.3km
赤岳山荘(5:13)〜北沢堰堤広場(5:55)〜F1取り付き(6:40-7:40)〜F7休憩(11:50-12:20)〜登山道合流(13:50-14:05)〜峰の松目(14:10)〜赤岩の頭(16:00)〜赤岳鉱泉(17:00-17:30)〜赤岳山荘(18:32)
アプローチ
北沢林道を歩き、堰堤広場を越え3つ目の橋で左岸に渡ったあたりで登山道から外れて下流へ。アプローチをミスってる考えなんて微塵もなく、真新しいトレースがあったので先客がいるかも?と思ったが、赤岳鉱泉に戻ってくるまで誰にも会わずだった。ダイヤモンドダストがキラキラ光っていてめっちゃ綺麗だった。(写真拡大すると見えるよ⭐︎)
登山道から30分ほどでF1が見えてくる。ここで装備を整えたり飯食ったり、作戦会議。松の目沢は核心はF8で、下部は基本フリーで抜けていく沢のはずなのに、初っ端F1からどう見てもフリーで抜ける感じではない。でも地形図みると稜線までしっかりと沢は繋がっていそうだし、とりあえず行ってみるかっつうなんとも責任感のない決議に。
明るくなるのを待ちスタート。奥が本流のようだけど抜けが悪そうなので左支流の幅広い滝を登ることにした。
F1
10mでⅢくらい。傾斜はまあまあ寝ているけど1年ぶりの氷でビビってスクリュー乱れ打ち。
抜け口の巨木に何本も捨て縄あり。
トレースは落口で消えていたので、前日?のパーティはこれ以上先には進んでない様子。本流の方にもトレースは残っていなかった。
念のためロープを引いて、本流へとトラバース調に進む。
倒木が多くて歩きにくかった。「前来たときはこんな倒木なかったな〜。」「多分台風とか土砂崩れで地形変わったんやろな!」とパートナー。んな訳あるか!
F2(?)
ちょっと開けた空間になり気持ち良くナメる。
F3
F3はハルさんリードで。最後2mが垂直で少し怖い。
抜けたらF4のチョックストーン滝だが氷結はなく左から巻く。藪漕いで5分ほど尾根を上がり、適当なところで岩壁の基部をへつってから本流に復帰。
陽が当たって明るく&暖かくなり出した。この小さな段を越えていくとすぐにF5とF6が見える。
F5&F6
F5はどこから登ってもⅢくらい、F6はⅣ〜Ⅴ、比較的易しそうな中央左寄りから登った。リードで続けて登ったが中間のテラス部分が長くてロープが重くて涙目...
氷結も甘くてアックスを振るうたびにフレーク状にブチ割れた。おまけに表面に水流もあってプロテクションが「彼女を寝取った親友」くらいに信頼無い。悲痛な叫び声は谷に吸い込まれて消えていったがなんとか落ちずにアウトした。
ザックは荷揚げにしておいて正解だった。
F7
F7手前の日当たり良好ポカポカテラスで大休止。
右岸に大きな岩小屋?洞穴?がある。
F7は10mほどのナメからの最後3mは緩傾斜。以降は全てフリーで。
F7の落口。陽が当たるともはや暑い。
F8
表面は水が滴ってきてたけど、スクリューが必要な滝はもう出てこないので関係ない。
ここからは3〜6mほどの緩傾斜の小滝が連続する。フリーでさっさと抜けていく。
F9
F 10
F11
F11で小滝も終了。F8以降はナンバリングの意味があるかは不明。
沢も源頭の様相に。正面の枯れ滝は右の弱点から。
源頭のゴーロ帯を稜線まで詰め上がる。
最後は樹林帯に突っ込むと程なくして稜線へ。
トップアウト&デプローチ
今回のテーマはアルパインアイスってことで一応ピークを踏んでおく。これ以上ないぐらい地味なピークで普通に素通りしかけた。もちろん一般登山者など居らず。
山ガールの歓声を受ける事を目論んでた相方は無念と疲労と少しの達成感で三途の川を渡りかけていた。
ここからのデプローチがしんどかった。
コルから赤岩の頭まで登り返し赤岳鉱泉経由で下山するか、峰の松目から美濃戸へ伸びる尾根沿いに下りるかだが、後者は記録はあるものの一般的ではない。
最低コルから沢沿いに下りれそうか偵察したがポカしてビバークは勘弁なので大人しく赤岩の頭まで登り返すことにした。メンタルを修業モードに切り替えて無心で歩く。
ラッセル気味にトレースを刻んでいく。ピンクテープは豊富だし尾根を外さずに歩くだけ。
正月に到来する最強寒波の前兆か、突風吹き荒ぶ。
奥に見えるのが峰の松目ピーク。
ヘトヘトで赤岩の頭到着。風を避けれる樹林帯まで逃げ込んで20分くらい座り込んで休憩。
大同心が美しい!
鉱泉へと戻ってくる頃にはすっかり陽が暮れてしまった。
この世情なので鉱泉も閑古鳥が泣いていると思いきや、そこら中で宴会が賑やかに行われていた。行動食は食べ尽くし非常食しか残っておらず、お腹がぐ〜ぐ〜鳴っていた僕には酒と鍋の匂いで脳幹が刺激されてしんどかった。
いつも通り、無の境地で林道をひた歩いて無事に駐車場へと帰還。
クライミングばかりで全然歩いてなかった僕らにとって、13時間行動は冬山初めにしては些かハードな山行だったけど、景色よし、登ってよしなナイスな沢だった!